パフォーマンスを落とさない!仕事のストレスを和らげる食事術
仕事のストレス、体調やパフォーマンスにどう影響するのか
日々の仕事でストレスを感じることは、多くのビジネスパーソンにとって避けられない現実かもしれません。しかし、そのストレスが長期化したり過剰になったりすると、体調に変化が現れ、結果として仕事のパフォーマンスにも影響が出ることがあります。
具体的には、集中力が低下する、疲れやすくなる、イライラしやすくなるといった精神的な変化だけでなく、胃腸の不調や肩こり、頭痛といった身体的な症状につながることもあります。これらの不調は、単につらいだけでなく、業務効率を低下させたり、判断力を鈍らせたりする要因となり得ます。
このようなストレス反応と、日々の食事が深く関わっていることをご存知でしょうか。食事は、単にお腹を満たすだけでなく、体と心の状態を整える重要な役割を担っています。特に、ストレスによって特定の栄養素が消費されやすくなったり、消化吸収の機能が変化したりするため、意識的に食事の内容を見直すことが、ストレスに強い体を作り、パフォーマンスを維持・向上させる鍵となります。
ストレス対策に役立つ栄養素と食品
ストレスに対抗し、心身のバランスを保つためには、特定の栄養素を意識して摂ることが推奨されます。忙しい中でも取り入れやすい、代表的な栄養素とその働き、多く含む食品をご紹介します。
ビタミンC
ストレスを感じると、体内でビタミンCが多く消費されることが知られています。ビタミンCは、抗酸化作用を持つだけでなく、ストレス対抗ホルモンの生成にも関わると言われています。
- 多く含む食品: ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、いちご、柑橘類など。
- コンビニ・外食での選び方: 野菜ジュース(果糖が多いものや添加物の多いものは避ける)、カットフルーツ、サラダにミニトマトなどを加える、ブロッコリーやパプリカが入った惣菜などを選ぶ。
ビタミンB群
ビタミンB群は、神経機能を正常に保つために不可欠な栄養素です。また、食べたものをエネルギーに変える代謝にも深く関わっており、疲労回復にも役立ちます。特にビタミンB1、B6、B12などがストレス対策に関与するとされています。
- 多く含む食品: 豚肉、うなぎ、レバー、まぐろ、かつお、バナナ、穀類など。
- コンビニ・外食での選び方: 豚肉を使った弁当や惣菜、かつおやマグロの刺身やたたき、鮭おにぎり、バナナ、玄米入りの商品などを選ぶ。
カルシウム・マグネシウム
これらのミネラルは、神経伝達物質の働きに関わり、精神的な安定をもたらすと言われています。「イライラ」を抑えるのに役立つとされ、ストレスを感じやすい時に意識したい栄養素です。
- 多く含む食品:
- カルシウム:牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、豆腐、小松菜、ひじきなど。
- マグネシウム:大豆製品、海藻類、ナッツ類、ほうれん草、玄米など。
- コンビニ・外食での選び方: 無糖ヨーグルト、牛乳、チーズ、しらすおにぎり、豆腐やわかめの味噌汁、枝豆、ナッツ類(素焼きのもの)、ひじきの煮物、ほうれん草のおひたしなどを選ぶ。
トリプトファン
必須アミノ酸の一つで、脳内でリラックス効果や幸福感に関わる神経伝達物質「セロトニン」の材料となります。セロトニンが不足すると、気分の落ち込みやイライラにつながることがあります。
- 多く含む食品: 牛乳、チーズ、ヨーグルト、大豆製品(豆腐、納豆)、かつお、まぐろ、アーモンドなど。
- コンビニ・外食での選び方: 牛乳、ヨーグルト、チーズ、豆腐、納豆、かつおやマグロの刺身、アーモンドなどを選ぶ。トリプトファンは炭水化物と一緒に摂ると吸収されやすくなるため、おにぎりやパンなどと一緒に摂るのがおすすめです。
GABA(ギャバ)
ガンマアミノ酪酸(Gamma-Amino Butyric Acid)の略で、脳内で興奮を抑える働きを持つ神経伝達物質です。リラックス効果やストレス緩和が期待されています。
- 多く含む食品: 発芽玄米、トマト、じゃがいも、柑橘類など。最近ではGABAを含むことをうたったチョコレートや飲料などの加工食品も多く販売されています。
- コンビニ・外食での選び方: 発芽玄米入りのおにぎりや弁当、ミニトマト、GABA配合の機能性表示食品などを利用するのも一つの方法です(ただし、加工食品に偏りすぎないように注意が必要です)。
忙しい日のための実践的な食事術
これらの栄養素を意識しつつ、忙しい日常でも無理なく続けられる食事の工夫をご紹介します。
血糖値を急激に上げない食事を心がける
血糖値が急激に変動すると、集中力の低下や気分のムラにつながりやすくなります。精製された穀物や砂糖が多い食品を避け、食物繊維が豊富な野菜やきのこ類、海藻類を先に食べる「ベジタブルファースト」を意識すると、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。コンビニのおにぎりなら、白米よりも玄米や雑穀米を選ぶのが良いでしょう。
間食を賢く利用する
小腹が空いたときに、甘いお菓子や清涼飲料水に手を伸ばしがちですが、これらは血糖値を急激に上げてしまいます。代わりに、ナッツ類、ドライフルーツ(少量)、無糖ヨーグルト、チーズ、ゆで卵などを選ぶのがおすすめです。これらはタンパク質や良質な脂質、ビタミン、ミネラルを含み、腹持ちも良く、ストレス対策に役立つ栄養素も含まれています。
食事の「質」だけでなく「摂り方」も重要
いくら体に良いものを食べても、急いでかきこむように食べるのは消化器に負担をかけ、リラックス効果も得られにくくなります。忙しい中でも、一口ごとに箸を置いてよく噛む、食事中は仕事から離れて味や香りに意識を向けるなど、短い時間でも「食べる」という行為そのものに集中する時間を作ることも、ストレスを和らげる上で効果的です。
避けたい食事
ストレスを感じると、無性に甘いものや脂っこいものが欲しくなることがありますが、これらを摂りすぎると、かえって体調を崩したり、血糖値の乱高下を招いたりすることがあります。また、カフェインやアルコールの摂りすぎも、睡眠の質を低下させたり、精神的な不安定さを招いたりする可能性があるため、量に注意が必要です。
まとめ
仕事のストレスは、体調やパフォーマンスに影響を与える要因の一つです。しかし、日々の食事を少し意識するだけで、ストレスに強い体を作り、パフォーマンスを維持・向上させることが可能です。ビタミンC、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、トリプトファン、GABAといった栄養素を意識し、コンビニや外食でも賢い選択を心がけましょう。
完璧な食事を目指す必要はありません。まずは一つでも、今日から取り入れられそうなことから始めてみてください。食事を通して心身のバランスを整えることが、忙しいビジネスシーンで最高のパフォーマンスを発揮するための一助となることを願っています。